試合途中なのに雨天コールドで勝敗決まるのって、スッキリしないですよね。
そうだ。雨天コールドの条件って、まだ説明してなかったですよね。
プロ野球のルールで解説しておきましょう。
この記事はこんな人にオススメ
- プロ野球の雨天コールドになる条件を知りたい人
- 雨天コールドについて細かいルールを知りたい人
- プロ野球と高校野球の違いはどこにあるかを知りたい人
プロ野球の雨天コールド時の試合成立条件
試合成立の基準は5回というのは、よく知られていることですよね。
その根拠は、公認野球規則7.01(c)に規定されています。
(c)球審によって打ち切りを命じられた試合(コールドゲーム)が次に該当する場合、正式試合となる。
(1)5回の表裏を完了した後に、打ち切りを命じられた試合。(両チームの得点の数には関係がない)
(2)5回表を終わった際、または5回裏の途中で打ち切りを命じられた試合で、ホームチームの得点がビジティングチームの得点より多いとき。
(3)5回裏の攻撃中にホームチームが得点して、ビジティングチームの得点と等しくなっている時に打ち切りを命じられた試合。
引用元:2021年度版公認野球規則7.01(c)
この規則の(1)が根拠となってプロ野球は5回を完了したら試合は成立します。
5回裏が完了していなくても、ホームチーム(後攻チーム)の得点が多ければ試合成立です。
試合が成立していれば、雨などで中断になった時の総得点で勝敗が決まります。
これがプロ野球における雨天コールドになる条件です。
プロ野球では、この条件で雨天コールドゲームとして試合を消化したと認められます。
逆に、この条件を満たさないときは、雨天コールドによりノーゲームとなります。
5回裏で同点の場合、ホームチームがこの回に得点する前に試合が打ち切られたらどうなるんですか?
(3)の条件には当てはまりませんし、(1)の条件にも当てはまりませんので試合成立条件を満たさないですから。
プロ野球で6回以降に雨天コールドになった時の勝敗の決め方
試合が成立した6回以降に中断となったときは、もちろん雨天コールドで試合は終わります。
しかし、勝敗の決め方は少し複雑になります。
ここではケースごとに勝敗をどのようにして決めるのか確認していきます。
公認野球規則には【注】の記載があります。
全文引用すると長いので、要約を記載します。
次に該当する場合は、両チームが完了した最終均等回の総得点でその試合の勝敗を決める
- ビジティングチームがその回の表で得点してリードを奪う、あるいは同点になった場合で
- その回の表が完了しない、裏が始まらない、ホームチームが得点しないなどのうちにコールドが宣告された場合
引用元:2021年度版公認野球規則7.01(g)(4)【注】を要約
この規則を理解するために、具体的な3つのケースについて考えます。
それぞれ試合結果がどうなるか予想しながら読んでみてください。
ポイントは、公認野球規則の引用文冒頭の「最終均等回」をどのように解釈するかです。
【ケース①】6回完了時に雨天コールドになった
先攻 010 001 | 2
後攻 001 000 | 1
このケースは、6回表裏の攻撃が完了しています。
よって、最終均等回は6回です。
ここで試合が中断されたので最終均等回である6回終了時の総得点で勝敗を決めます。
すなわち、雨天コールドで試合終了となり、2-1で先攻チームの勝ちです。
9回が5回に短くなっただけと考えればいいですね。
【ケース②】先攻が6回表に同点として6回裏の攻撃中に雨天コールドになった
先攻 010 001 | 2
後攻 002 00 | 1
ルールが少しややこしくなるのは、このケースです。
6回表に1点を取ったことで、先攻チームは同点に追いつきました。
しかし、6回裏の攻撃中にコールドが宣告されたというケースを想定しています。
このケースは、上に書いた7.01(g)(4)【注】の条件にぴったり当てはまります。
だから、最終均等回は5回になります。
5回までの総得点で勝敗を決めるのです。
6回裏はホームチームが得点していないので、ホームチームが攻撃した状態にはなりません。
6回表のビジターチームだけが攻撃をしたということになるのです。
なので、6回は最終均等回として認められません。
結局、試合結果は、2-1で後攻チームの雨天コールド勝ちとなります。
このあたりは、後攻チームが有利なルールですよね。
【ケース③】先攻が6回表に同点として6回裏の得点後に雨天コールドになった
先攻 010 001 | 2
後攻 002 001x | 3x
ケース②と違うのは、6回裏に後攻チームが得点を入れていることですね。
後攻チームが得点を入れているため、7.01(g)(4)【注】の条件には該当しません。
つまり、最終均等回は6回になります。
6回までの総得点で勝敗を決めます。
結果は、3-2で後攻チームの雨天コールド勝ちとなります。
高校野球の雨天コールドの基準は7回
ここまで公認野球規則に基づき、雨天コールドが宣告された場合のプロ野球の運用を解説しました。
しかし、高校野球は違います。
高校野球特別規則には5回を7回と読み替えるという記載があるそうです。
なので、試合成立の分岐点は7回です。
ただし、甲子園全国大会および各都道府県の予選の決勝戦に限っては、9回を終了しなければノーゲームとなります。
ちなみに、プロ野球と高校野球のルールの違いは、試合成立のイニング数の他、臨時代走の有無もあります。
臨時代走のルールとは?高校野球でよく見るけど誰が臨時代走で出てもいいの??
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プロ野球や高校野球がサスペンデッドゲームにならない理由
ところで、公認野球規則をちゃんと読むと、試合成立した後に試合を打ち切る場合はサスペンデッドにすると書かれています。
2021年度版公認野球規則7.02(a)(5)(6)に記載されています。
サスペンデッドとは、一時中断という意味です。
すなわち、試合を一時中断して、あらためてその続きから試合を行うというルールです。
でも、プロ野球でも高校野球でもサスペンデッドにならないですよね。
高校野球の場合は引き分けとして再試合になり、プロ野球は引き分けで試合を消化します。
これは、プロ野球も高校野球もそれぞれの所属団体が定める規則でサスペンデッドにしないと定められているからです。
プロ野球も高校野球も過去はサスペンデッドがあったそうですが、現在では撤廃されています。
その理由は、いろいろな不都合があったり、サスペンデッド自体が不要になったりといった理由があるみたいです。
興味があれば調べてみると、いろんな歴史があって面白いかもですよ。
プロ野球の雨天コールド時の試合成立条件 まとめ
では、最後に雨天コールド時の試合成立条件をまとめておきます。
雨天コールド時の試合成立条件
- 5回を完了していれば、試合は成立する。ただし、完了条件は公認野球規則7.01(c)に規定される。
- 5回を完了していない(完了条件を満たさない)場合は、ノーゲームとなる。
- 試合が成立した後、雨天コールドが宣告された場合の勝敗は7.01(g)(4)【注】に規定される。
- 高校野球は、5回ではなく7回完了をもって試合成立とする。
雨天コールドのルールを理解するために公認野球規則を何箇所か抜粋して紹介しています。
野球のルールを勉強しているのであれば、一度は公認野球規則を読んだ方がいいです。
書き方が難しく、理解するのが大変かもしれません。
そのときは、このブログで「ああ。そういうことか」と理解していただければと思います。
いずれにしても、公認野球規則を読まないと本当のルールはわかりませんので。
(おまけ)雨の日の野球観戦の必需品
屋外の球場で野球を見るなら、レインポンチョがあったほうがいいです。
頭からずぼっと簡単に着れるタイプが便利です。
あと、40リットルくらいの大きいゴミ袋はあった方がいいですよ。
カバンを入れておくと便利です。