審判はすぐにタイムをかけて走塁妨害を宣告してましたね。
でも、すぐにタイムをかけていい場合と、ダメな場合があるんですよ。
審判はどのようにジャッジすればいいか理解できると思います。
この記事はこんな人にオススメ
- 走塁妨害発生時、どのように審判が宣告するのか知りたい人
- 走塁妨害発生時、ランナーをどこまで進めたらいいか知りたい人
走塁妨害の宣告の基本
公認野球規則のオブストラクションの項、冒頭に次のことが記載されています。
オブストラクションが生じたときには、審判員は”オブストラクション”を宣告するか、またはそのシグナルをしなければならない。
引用元:2021年度版公認野球規則6.01(h)
走塁妨害(オブストラクション)が起きたとき、審判員は次のいずれかでジャッジします。
まずはこれが最初のやるべきことです。
走塁妨害発生時の審判の初動
- オブストラクションを宣告する
- または、オブストラクションのシグナルをする
では、どういう場面ならば宣告し、どういう場面ならばシグナルだけでいいのでしょうか。
それも公認野球規則に明記されています。
順番に見ていきましょう。
走塁妨害発生時の処置方法
オブストラクションを宣告する場合
公認野球規則には、下記の場合はただちにボールデッドにすると書かれています。
ボールデッドになるケース
- 走塁を妨げられた走者に対してプレイが行われていた場合
- 打者走者が一塁に触れる前にその走塁を妨げられた場合
よって、このケースの走塁妨害が起きたときは、審判はただちにタイムをかけます。
そのうえで走塁妨害をした野手を指差しながら、「オブストラクション」とコールします。
塁上の各ランナーに対しては、下記の通り処置をしてプレー再開となります。
ランナーに対する処置
- 塁上の各走者は、走塁妨害がなければ達したと審判員が推定する塁まで安全に進塁できる
- 走塁を妨げられた走者は、走塁妨害発生当時の占有塁よりも少なくとも1個先の進塁が許される
- 走塁を妨げられた走者が進塁を許されたために塁を明け渡さなければならなくなった前位の走者は、次塁へ安全に進塁できる
さらに詳しく
走塁を妨げられた走者に対してプレイが行われているとは?
野手がアウトを取ろうとしているランナーに対してプレイが行われているという意味です。
例えば、一塁ランナーが三塁へ進塁を試みたとき、三塁へ送球してこの一塁ランナーを挟撃したとします。
そして、挟撃されている間にボールを持たない野手が一塁ランナーにぶつかったとします。
この状態が、走塁を妨げられた走者に対してプレイが行われているということです。
オブストラクションのシグナルをする場合
一方、オブストラクションのシグナルをするだけの場合というのは、どういう場合でしょうか。
このケースでは、シグナルをしておいてその後のプレーは続行させます。
ここがただちにボールデッドにするケースとの大きな違いですので、注意しておいてください。
シグナルをするだけのケース
- 走塁を妨げられた走者に対してプレイが行われていない場合
このケースの走塁妨害が起きたときは、審判は走塁妨害をした野手を指差すシグナルを出すのみです。
先ほども言った通り、プレーは続行させます。
そして、プレーが落ち着いたところで、タイムをかけて走塁妨害を適用します。
ランナーに対する処置
- 審判の判断で走塁妨害によって受けた走者の不利益を取り除くように適宜な処置をとる
ここでのポイントは、適宜な処置とはどういう処置か?ということです。
審判は、もし走塁妨害がなければ走塁妨害を受けたランナーはどこまで進塁できたか?を推定します。
そして、プレーが止まったとき、進塁できたと推定した塁に達していないのであれば、走塁妨害を受けたランナーをその塁まで安全に進塁させます。
これが適宜な処置です。
ただし、走塁妨害を受けたランナーが進塁できたと推定した塁を越えてさらに先の塁への進塁を試みたとします。
そして、そこでアウトになったとします。
この場合、走塁妨害があったとしても、このアウトは有効です。
ランナーが安全進塁権を与えられる以上に進塁を試みる場合は、安全に進塁することが保証されないからです。
複雑な走塁妨害の処置
審判の宣告前に送球し、悪送球になった場合
例えば、次のようなケースを想定します。
想定するプレイ
- 一塁ランナーが、次打者のライト前ヒットで三塁へ向かった
- ライトからの素早い返球により、一塁ランナーは二・三塁間で挟まれた
- 挟まれた一塁ランナーが二塁方向へ戻り、その後再び三塁へ向かいかけたときにボールを持たない野手とぶつかった
- 審判はただちにオブストラクションを宣告した
- しかし、オブストラクション宣告直前に、二塁手が三塁へ送球しており、その送球がダッグアウトへ入ってしまった
このケースでは、審判は一塁ランナーを本塁まで安全に進塁させます。
なぜなら、オブストラクションを宣告する前に、ボールを送球していたからです。
ボールデッド前に行われたプレイなので、これもプレイの結果として見るべきです。
もし走塁妨害がなければ、一塁ランナーは三塁まで進塁し、さらにボールがダッグアウト方向へ逸れたことで本塁へ進塁したと推定できます。
よって、一塁ランナーを本塁まで進塁させる処置を取ります。
その他
その他、具体的な事例は、走塁妨害のルールを説明した記事に用意したケーススタディを参照してください。
簡単なクイズ形式で書いていますので、理解度のチェックとしても使えます。
走塁妨害のルールや定義を詳しく説明!守備妨害とどちらが優先されるか解説付き!!
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走塁妨害の宣告の仕方まとめ
走塁妨害が発生したとき、審判がどのようにそれを宣告するのかまとめておきます。
走塁妨害の宣告まとめ
- 走塁妨害が発生したとき、審判はただちにオブストラクションを宣告するか、またはシグナルを出す
- オブストラクションを宣告した場合は、プレーをとめてランナーを進塁させる処置をする
- シグナルを出した場合は、プレーが落ち着くまで続行させて、その後必要な処置をする
審判のジャッジの仕方を他に知りたい場合は、レベル別にまとめた一覧表が便利です。
併せて確認してください。
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少年野球審判の効率的な学び方
ただでさえ膨大に定義されている野球ルールに加えて審判のルールと、
野球審判が覚えなければならないことはたくさんあります。
公認野球規則は、細かい文字で約230ページのボリュームです。
野球を知らないお父さんが審判をするハードルが高いわけです。
そこで、試合でよくあるケースに絞って審判のやり方が学べる方法を紹介しています。
ぜひチェックしてみてください。
少年野球のルールの覚え方|試合でよく使うルールだけをピンポイントで知る方法とは!?
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また、公認野球規則の完全な文章を読みたいのであれば、公認野球規則を購入することをおすすめします。
1冊1,000円くらいですので、お手頃かと思います。