このケースは、ファールになると思っていました。
2ストライクのときにファウルチップをしたら三振になるというのは知ってるんですけど。
ファウルチップの基本を押さえておきましょうか。
この記事はこんな人にオススメ
- ファウルチップの基本的なルールを知りたい人
- キャッチャーがファウルチップを捕球したらストライクかファウルかどっちだろう??って疑問に思っている人
- ファウルチップとキャッチャーフライの違いを知りたい人
ファウルチップとは?
ファウルチップは、公認野球規則に次のように定義されています。
打者の打ったボールが、鋭くバットから直接捕手に飛んで、正規に捕球されたもので、捕球されなかったものはファウルチップとならない。ファウルチップはストライクであり、ボールインプレイである。
引用元:公認野球規則2021年度版 定義34より
要点を整理すると、こうなります。
ファウルチップとは?
- バットをかすめた打球を(キャッチャーが)正規捕球すれば、ファウルチップである
正規捕球できなければ、ファウルチップではない - ファウルチップは、ストライクである
- ファウルチップは、ボールインプレイである
なお、公認野球規則の定義には捕球するのはキャッチャーであると明記されていません。
しかし、現実的に考えて、バットをかすめた打球を捕球できるのはキャッチャーだけです。
そのため、こちらで整理したものには「(キャッチャーが)」と付け加えています。
また、正規捕球という用語が出てきました。
この正規捕球の意味についても、ここで確認しておきます。
同じく公認野球規則には、捕球とは次のように定義されています。
野手が、インフライトの打球、投球または送球を、手またはグラブでしっかりと受け止め、かつそれを確実につかむ行為であって、帽子、プロテクター、あるいはユニフォームのポケットまたは他の部分で受け止めた場合は、捕球とはならない。
(以降、省略)
引用元:公認野球規則2021年度版 定義15より
正規捕球について、こちらも整理しておきましょう。
正規捕球とは?
- 正規捕球とは、インフライトの打球、投球または送球を、手またはグラブでしっかりと受け止め、かつそれを確実につかむ行為のこと
- 手またはグラブ以外で受け止めても、正規捕球にはならない
さて、ファウルチップについて理解しておくべきポイントは、上の「ファウルチップとは?」で整理した3点です。
これら3点について、1つずつ詳しく見ていきましょう。
ファウルチップのポイント詳細説明
ファウルチップになるケースとならないケース
正規捕球については、上で定義した通りです。
しかし、ことファウルチップに限って言えば、定義に書かれた以外のケースが想定されます。
例えば、チップしたボールが審判に当たったケースですね。
どういったケースが正規捕球となるのか、すなわちファウルチップとして認められるのか、逆にファウルチップにならないのはどういったケースか整理したものが、こちらです。
ファウルチップになるケース
- チップした打球をキャッチャーが手またはグラブで捕球した
- チップした打球をキャッチャーの身体または防具に触れて、跳ね返ったものを地面に落ちる前に捕球した(※)
※のケースは、2021年度のルール改定でファウルチップになると新たに認められました。
ファウルチップにならないケース
- チップした打球がキャッチャーが捕球する前に地面に触れた
- チップした打球がキャッチャーの防具に挟まった
- チップした打球が審判に当たった
ファウルチップはストライク
ファウルチップはストライク扱いとされることは、非常に重要なポイントです。
当たり前ですが、ストライクなのでストライクカウントが1つ増えます。
もちろん、2ストライク後のファウルチップは三振です。
実は、ファウルチップでバッターが三振となるのは、3ストライクを取られたからなんです。
決して、ファウルフライのようにキャッチャーが打球を直接キャッチしたからではないのです。
ゆえに、0または1ストライクのときにファウルチップになっても、バッターはアウト(三振)にはなりません。
もし、ファウルチップがファールフライと同じ扱いなら、0ストライクでも1ストライクでもバッターはアウトになるはずです。
ファウルチップはストライク扱いであるということをしっかり理解しておきましょう。
ファウルチップはボールインプレー
ファウルチップはボールインプレーであることも重要なポイントです。
ファウルチップがストライク扱いになることとも関連しています。
(もし、ファウルチップがファウル扱いなら、ボールデッドですから)
ファウルチップがボールインプレーになることを知らない人は意外と多いと思われます。
特に、少年野球では選手が知らないということがあり得ると思います。
ですので、審判を務めるときには、ボールインプレーであることを意識して後続のプレーにも目配りが必要です。
もし、ルールをわかっていない選手がいたら、ぜひ教えてあげてください。
ファウルチップとキャッチャーフライの違い
最後にファウルチップとキャッチャーフライの違いについても説明しておきましょう。
公認野球規則のファウルチップの定義34には、次のように書かれていました。
打者の打ったボールが、鋭くバットから直接捕手に飛んで・・・(略)
これを読んで、あなたはこう思いませんでしたか?
「鋭く後ろにそれた打球って、いったいどんな打球やねん・・・??」
はい。正解です。笑
これだけでは、「どんな打球」がファウルチップになるのかわかりません。
だって、鋭い打球なんて人によって感じ方が違いますもん。
「これが鋭い打球だ!」なんて、言えそうにありません。
結論から言えば、どんな打球がファウルチップになるかは審判が判断します。
極端な話、審判がファウルチップだと言えば、ファウルチップになるのです。
とはいえ、一般的に「これがファウルチップだろう」という感覚は、おおよそ共通したものがあります。
映像を見れば、瞬時に「これはファウルチップ」とか「ファウルチップじゃない」とか判断できると思います。
その共通した認識を言葉で書くと、おそらくこんな風になります。
これでもまだ「弧を描く」とは、どれくらいの弧を言うのかという疑問が出てきそうですが・・・。
先ほども言いましたが、最終的には審判の判断となります。
ファウルチップとキャッチャーフライの区別ができたとして、それらの違いは下表のようになります。
ファウルチップ | キャッチャーフライ | |
捕球した時の取り扱い | ストライク(空振り) | アウト |
捕球できなかった時 | ファウル | フェアゾーンで落球⇒フェア ファウルゾーンで落球⇒ファウル |
捕球時のランナーの リタッチ義務 | なし | あり |
ファウルチップに関するケーススタディ
ケース① キャッチャーマスクに当たった打球を捕球
ケースの説明
- 2ストライクで、バットにかすった打球がキャッチャーマスクに当たった
- マスクに当たった打球が地面に触れる前に、キャッチャーが素手でその打球を捕球した
解説
バッターは三振となります。
地面にボールが付く前に捕球していますので、キャッチが認められます。
また、手で捕球することも正規捕球です。
解説補足
前出の「ファウルチップになるケースとならないケース」で少し触れた通り、2021年度にルール改正がありました。
この改正により、キャッチャーの身体または防具に当たっても地面に着く前にキャッチすれば捕球になると変更されています。
ちなみに、それ以前は、キャッチャーミットもしくは手に最初に触れていなければ捕球とは認められませんでした。
ケース② 打球が審判に当たった打球を捕球
ケースの説明
- 2ストライクで、バットにかすった打球がキャッチャーに触れることなく、審判に当たった
- 審判に当たった後、ボールが地面に触れる前にキャッチャーはミットで捕球した
解説
判定はファウルです。
このケースでは、バッターは三振になりません。
ポイントは、打球が最初に審判に当たっていることです。
打球が審判に当たった時点でファウルとなります。
ケース③ キャッチャーが脇に挟んで捕球
ケースの説明
- 2ストライクで、バットにかすった打球がキャッチャーミットに触れた
- ミットに触れた打球は勢いを弱めず、そのままキャッチャーの脇にスッポリ入った
この場合の判定はどうなるでしょう?
解説
このケースは、ファールです。
キャッチャーの脇に入っても正規捕球とは認められません。
よって、ファウルとなります。
ファウルチップのルールまとめ
この記事では、ファウルチップのルールについて詳しく説明してきました。
ファウルチップのポイントは、下記3つです。
ファウルチップルールのポイント
- バットをかすめた打球を(キャッチャーが)正規捕球すれば、ファウルチップである
正規捕球できなければ、ファウルチップではない - ファウルチップは、ストライクである
- ファウルチップは、ボールインプレイである
公認野球規則だけを読んでも、なかなかファウルチップのルールを正確に理解することは難しいと思います。
だから、このブログでできるだけわかりやすく説明しているのですが・・・。
でも、公認野球規則も併せて読んでおくことは、オススメしておきたいです。
省略した箇所もありますので、何が書かれているのか、どうしてこのような解釈になるのか確認しておくと良いでしょう。