バッターランナーは、絶対にその中を走らないといけないんですか?
でも、その中を走っていないと守備妨害になる可能性があります。
なので、基本的にはその中を通ることになるでしょう。
ちなみに、”その中”のことをスリーフットレーンと言います。
ここでは、スリーフットレーンにまつわる守備妨害のルールについて詳しく解説しますね。
この記事はこんな人にオススメ
- スリーフットレーンに関連するバッターランナーの守備妨害を詳しく知りたい
- 守備妨害のルールがどのように適用されるか具体的な事例を使って説明してほしい
守備妨害の全てを知りたい場合は、こちらの記事を参照してください。
公認野球規則に書かれているすべての守備妨害を網羅して解説しています。
スリーフットレーンの守備妨害
この記事は、バッターランナーによる守備妨害のうちスリーフットレーンにフォーカスを当てます。
もしスリーフットレーンが分からなければ、先にこちらの解説記事を読んでください。
知っている人は、読まなくも大丈夫です。
スリーフットラインやスリーフットレーンとは何か?描かれている理由も徹底解説!!
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スリーフットレーンの走行義務
バッターランナーは、原則としてスリーフットレーンの中を走行しなければなりません。
スリーフットレーンの中を走らず野手の動作を妨げた場合は、守備妨害が取られます。
その根拠になるのが、公認野球規則の5.09(a)(11)です。
この条項のポイントは、冒頭に「一塁に対する守備が行われているとき」と書かれていることです。
一塁に対する守備が行われていなければ、スリーフットレーン内を走る必要はありません。
一塁に対する守備が行われていないので、当然ボールが送球されることはありません。
したがって、送球を捕らえようとする野手を妨げることもありません。
つまり、スリーフットレーンの外側を走っても守備妨害に取られることはないのです。
例えば、バッターがレフト前ヒットを打ったとします。
一塁手前でスリーフットレーンを無視して大きく円を描くように走りますよね。
この走り方が問題にならないのは、一塁への送球がない場面だからです。
スリーフットレーンの守備妨害に対するペナルティ
バッターランナーがスリーフットレーンの外を走ったことで守備妨害となったとき、どのようなペナルティになるのでしょうか。
原則としてバッターランナーが犯した守備妨害のペナルティは下記の通りです。
守備妨害のペナルティ
- バッターランナーはアウトになる
- ボールデッドになる
- 他のランナーは投球当時占有していた塁に戻される
実は、この原則通りにならないケースがあります。
スリーフットレーンの守備妨害は、やや特殊で理解が難しいんです。
その理由は、例外的なケースが規定されているからです。
次からは、この例外的なケースを理解するために順を追って説明していきます。
スリーフットレーンに関する公認野球規則をおさらい
ここで、守備妨害が発生したときのペナルティについて公認野球規則の定義をおさらいしておきます。
ただし書きがありますが、ここが先ほどの原則と異なる結果になる根拠です。
「その走者はそのままセーフが認められて、得点は記録される」とありますよね。
これは、投球当時に占有していた塁に戻されることなく、得点が認められると理解します。
では、先ほど記載したペナルティをこのただし書きを考慮して書き直してみましょう。
守備妨害のペナルティ(追記)
- バッターランナーはアウトになる
- ボールデッドになる
- 他のランナーは投球当時占有していた塁に戻される
ただし、0アウトまたは1アウトで守備妨害の宣告よりも先に得点していれば、その得点は認められる
スリーフットレーンの守備妨害におけるペナルティは、上記のようになります。
ところで、公認野球規則の最後にある【注】に気づきましたか?
ここも正しく解釈しておかないとスリーフットレーンの守備妨害を完全に理解したとは言えません。
次は、この【注】の一文をどのように解釈すればいいか解説していきます。
スリーフットレーンの守備妨害の完全な理解
あらためて公認野球規則の【注】の箇所を読んでみましょう。
【注】前記の〝打者走者が一塁に到達しないうち〟以下の段は、プレイが介在した後に妨害が発生した場合には適用しない。
「プレイが介在した後に妨害が発生した場合には適用しない」と書かれています。
守備妨害が発生する前にプレイが介在したか、しなかったかでルールの適用が異なるということです。
よって、下記2つのケースに分けて考えていくことにします。
- 守備妨害が発生する前に別のプレーが介在した時
- 守備妨害が発生する前に別のプレーが介在しなかった時
守備妨害発生前に別のプレーが介在した時
このケースは、【注】の条件に当てはまる場合です。
【注】は、インターフェアに対するペナルティの下記の部分だけを適用すると解釈します。
インターフェアに対するペナルティ 走者はアウトとなり、ボールデッドとなる。
審判員が打者、打者走者または走者に妨害によるアウトを宣告した場合には、他のすべての走者は、妨害発生の瞬間にすでに占有していたと審判員が判断する塁まで戻らなければならない。ただし、本規則で別に規定した場合を除く。
※このケースでは、以下の条文を無視する
したがって、守備妨害のペナルティは次のようになります。
守備妨害のペナルティ(別プレイ介在あり)
- バッターランナーはアウトになる
- ボールデッドになる
- 他のランナーは妨害発生当時占有していた塁に戻される
守備妨害発生前に別のプレーが介在しなかった時
このケースは、【注】の条件に当てはまらない場合です。
したがって、「公認野球規則をおさらい」で導いた「守備妨害のペナルティ(追記)」そのものがこのケースのペナルティです。
守備妨害のペナルティ(別プレイ介在なし)
- バッターランナーはアウトになる
- ボールデッドになる
- 他のランナーは投球当時占有していた塁に戻される
ただし、0アウトまたは1アウトで守備妨害の宣告よりも先に得点していれば、その得点は認められる
公認野球規則の解釈がちょっとややこしかったですね。
結局、別プレイが介在する場合と、しない場合と2つのペナルティがあるということです。
ややこしいルールになった理由は、ちゃんとあるようです。
それを説明しだすと長くなりますので、また別の機会に。
では、スリーフットレーンのルールをさらに理解するためにケーススタディをしましょう。
ケーススタディは、自分で考えてから読み進めるようにしてください。
スリーフットレーンの守備妨害ケーススタディ
バッターランナーが守備妨害を起こした時、どのようにルールを適用するか理解を深めるためのケーススタディを3つ用意しました。
どのような結果になるか予想して読み進めてください。
ケーススタディ① 1アウトランナー3塁(その1)
ケースの説明
- 1アウトランナー3塁の場面でバッターはスクイズをした
- ピッチャーはその打球を捕球し、本塁へ送球せずに直接一塁に送球した
- ところが、スリーフットレーンの外側を走っていたバッターランナーにこの送球が当たったため守備妨害を取られた
- 三塁ランナーは、守備妨害が起きる前にホームインしていた
解説
バッターランナーはアウトになりますが、3塁ランナーの得点は認められます。
そして、2アウトランナー無しからプレーが再開されます。
守備妨害のペナルティ(別プレイ介在なし)の例外が適用された形となります。
ケーススタディ② 1アウトランナー3塁(その2)
ケースの説明
- 1アウトランナー3塁の場面でバッターはスクイズをした
- ピッチャーはその打球を捕球して本塁へ送球した
- 三塁ランナーは本塁でタッチアウトとなった
- その後、キャッチャーは一塁へ送球した
- ところが、スリーフットレーンの外側を走っていたバッターランナーにこの送球が当たったため守備妨害を取られた
解説
バッターランナーはアウトになり、3塁ランナーもアウトになります。
つまり、3アウトになって攻撃は終了します。
ケーススタディ③ 0アウトランナー満塁
ケースの説明
- 0アウトランナー満塁の場面でバッターはピッチャーゴロを打った
- ピッチャーはその打球を捕球して本塁へ送球した
- 三塁ランナーは本塁でフォースアウトとなった
- その後、キャッチャーは一塁へ送球した
- ところが、スリーフットレーンの外側を走っていたバッターランナーにこの送球が当たったため守備妨害を取られた
- 守備妨害が起きた時、2塁ランナーは三塁へ到達していたが、1塁ランナーは二塁に到達していなかった
解説
バッターランナーはアウトになり、3塁ランナーもアウトになります。
よって、2アウトランナー1・3塁でプレーが再開されます。
守備妨害が起きた時にランナーはどこにいたか?によって判断されますので、
守備妨害発生時に既に三塁へ到達していた2塁ランナーの進塁は認められます。
もう1つ事例を紹介しておきます。
これは日本シリーズで実際に起きたプレーです。
まさにスリーフットレーンの守備妨害でした。
どんなプレーが起きたのか?
なぜ守備妨害で日本一が決定してしまったのか??
こちらも併せて読んでみてください。
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この記事のまとめ
この記事のまとめ
- バッターランナーは原則としてスリーフットレーンの中を走る
- 守備妨害をしたバッターランナーはアウトになる
- スリーフットレーンによる守備妨害のペナルティは2種類がある
スリーフットレーンのルールの理解は、ちょっと難しかったですね。
ルールを定義する文章って、あらゆるケースを想定するため難しい文章になりがちです。
ですが、よくよく読めば理解できるはずです。
もし、わからないことがあれば、このブログで確認してみてください。
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