ルールをはっきり知らないという人は多いのではないでしょうか。
でも、知ってしまえば意外と単純なルールなのですよ。
この記事はこんな人にオススメ
- 第三アウトの置き換えとは何か知りたい人
- なぜ、第三アウトの置き換えが必要なのか理由を知りたい人
- 第三アウトの具体的な事例を知りたい人
第三アウトの置き換えとは?
第三アウトの成立後に4つ目のアウトを取ることを第三アウトの置き換えと言います。
ルールブックの盲点と言われることもあります。
ところで、この第三アウトの置き換えに対して2つの疑問が浮かびます。
- なぜ、第三アウトを置き換える必要があるのか?
- どのようにして第四のアウトを第三のアウトと置き換えるのか?
これを理解するために、まずは高校野球で実際に起きた事例を紹介します。
【高校野球】2012年夏 済々黌高校対鳴門高校の事例
”第三アウトの置き換え"が必要だったプレーの流れ
2012年夏の甲子園、済々黌対鳴門の試合でこんなことが起きています。
この試合の7回裏、濟々黌の攻撃で1アウトランナー1・3塁という場面です。
この場面でバッターが打ったところからプレーを追いかけてみましょう。
プレーの流れ
- バッターが打った打球はライナーとなり、遊撃手がジャンプしてこれをキャッチした(2アウト)
- このとき、1塁と3塁のランナーはそれぞれベースを飛び出していた
- 遊撃手から一塁手へゆっくりとボールが送球され、一塁手がベースを踏んで1塁ランナーはアウトになった(3アウト)
- 3アウトを取ったため守備側の野手は全員ベンチに戻った
- 一方、3塁ランナーは、3塁ベースへ戻ることなくそのままホームへ走って第三アウト成立前にホームベースを踏んでいた
- 攻撃終了後、濟々黌に1点が記録された
3つ目のアウトを取られたにも関わらず、濟々黌は得点(1点)が認められています。
なぜ、3アウトでチェンジなのに1点が入ったのでしょうか。
ここにルールブックの盲点とも言われる少し複雑なルールが存在しているのです。
そのルールを紐解きながら、1点が入った理由を見ていきましょう。
濟々黌高校に得点が入った理由
野球のルールでは第三アウトがフォースアウトでない場合、第三アウト成立前にランナーがホームインしていたら得点が認められることになっています。
ココがポイント
- 第三アウトが成立する前にランナーがホームベースを踏んでいれば得点になる
- 第三アウトがフォースアウトの時は、ランナーが先にホームベースを踏んでいても得点にならない
問題は、第三アウトになった1塁ランナーに対するプレーです。
このケースでは、1塁ランナーが飛び出していたんですね。
で、フライを捕球したので1塁ベースへ送球したと。
理解しておかないといけないのは、このプレーがアピールプレーであることです。
すなわち、フォースアウトではないということなんです。
公認野球規則には次のように書かれています。
(c)アピールプレイ
次の場合、アピールがあれば、走者はアウトになる。
(1)飛球が捕らえられた後、走者が再度の触塁(リタッチ)を果たす前に、身体あるいはその塁に触球された場合。
引用元:2021度版公認野球規則 5.09c(1)より
第三アウトがフォースアウトではないので、先に書いた”野球の得点ルール”の次の一文は適用されません。
第三アウトがフォースアウトの時は、ランナーが先にホームベースを踏んでいても得点にならない
逆に、次の一文は適用されます。
第三アウトが成立する前にランナーがホームベースを踏んでいれば得点になる
したがって、第三アウトになる前にホームインした3塁ランナーの得点が認められたのです。
ちなみに、第三アウトを取られた後に3塁ランナーがホームインしていたら、その得点は認められません。
ホームインと第三アウトのどっちが早いか?が判断の分かれ目です。
このようなプレーを”タイムプレー”と言います。
詳しくは、こちらで解説しています。
野球のタイムプレイとはどんなルールか?ルールの基本を説明します!!
続きを見る
鳴門高校のアピール権の消滅
では、第三アウトを取る前に入った得点を防ぐ手立てはないのでしょうか。
実は、この一連のプレーで3塁ランナーはリタッチ義務を果たしていません。
だから、守備側は3塁のベースを踏めば3塁ランナーをアウトにできます。
そして、3塁ランナーをアウトにすれば得点は無効になります。
タッチアップのときと同様ですね。
ただし、このケースは3アウトを取っていますから、守備側の選手はベンチに引き上げようとしています。
この場合、アピール権の消滅が問題になります。
アピール権の消滅までに3塁ランナーのアウトをアピールしなければなりません。
このアピールがなければ、得点が確定してしまいます。
鳴門高校は、このアピール権が消滅する前に、アピールをしませんでした。
そのため、濟々黌に得点が入ったということなのです。
なお、アピールプレーについて解説した記事の中で、アピールプレーの消滅についても解説しています。
アピールプレーとは?アピール権の消滅までルールを徹底解説!!
続きを見る
第三アウトの置き換えが必要な理由とその方法
もし、鳴門高校がきっちりアピールできていたとしたら?
プレーの順番を追っていけば、1イニングで4つ目のアウトになりますね。
得点を防ぐために1イニングで4つ目のアウトが必要だということです。
しかし、野球のルールでは1イニングに3つのアウトしか記録されません。
ですので、この場合第三アウトが3つ目のアウトから4つ目のアウトに置き換えられるのです。
これが、第三アウトの置き換えと言われる理由です。
第三アウトを置き換える方法とは、3塁ランナーのリタッチをアピールしてアウトにすることです。
また、第三アウトの置き換えが必要な理由は、3塁ランナーの得点を防ぐためです。
第三アウトの置き換え まとめ
最後に第三アウトの置き換えに関してまとめておきます。
第三アウトの置き換えまとめ
- 第三アウトの置き換えとは、アピールプレーで4つ目のアウトを取ることである
- フライを捕球したときに飛び出しているランナーをアウトにするプレーは、アピールプレーである
- アピールプレーでアウトになる前のホームインは得点として認められる
- この得点を防ぐためには、第三アウトの置き換えが必要である
記事の途中でも出てきましたが、これらの記事は関連した内容なので併せて読むようにしてください。
野球のタイムプレイとはどんなルールか?ルールの基本を説明します!!
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アピールプレーとは?アピール権の消滅までルールを徹底解説!!
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