どうなったらボークかというのが、全然わかりません!
例えボークしててもわかりません。
それと同じで、少しずつ分かるようになっていけばいいと思いますよ。
ということで、ボークの種類と具体的にどうなったらボークなのか1つ1つ確認していきましょうよ。
この記事はこんな人にオススメ
- ボークってどんなルールか知りたい人
- どんなプレーがボークになるのか知りたい人
- ボークになったらどんなペナルティがあるのか知りたい人
野球のボークとはどんなルール?
ボークとは、ピッチャーの反則行為の1つです。
2021年度版公認野球規則6.02aには、実に13種類のボークが定義されています。
その13種類のいずれかの行為が行われた場合、審判は「ボーク」を宣告します。
そして、守備側にペナルティが与えられます。
このペナルティは、圧倒的に攻撃側に有利な内容になっています。
なお、ボークは塁上にランナーがいるときに行われる違反動作のことです。
塁上にランナーがいなければ、その違反は反則投球と呼ばれます。
では、先に13種類のボークを1つ1つ見ていきましょう。
その後でペナルティを説明して、最後にケーススタディで終わるという順番で進めていきます。
公認野球規則で定義された13種類のボーク
先ほども言いましたが、公認野球規則には13種類のボークが定義されています。
それらを下記4つのグループに整理して、簡単な説明を加えていきます。
ボークのグルーピング
- 投球に関するボーク
- 投球動作に関するボーク
- 送球(牽制)に関するボーク
- その他のボーク
なお、赤字で書いているボークは、実際の試合で発生する可能性が高いものです。
ここに注意
13種類のボークの定義文は、必ずしも公認野球規則に記載している文言そのままではありません。
理解してもらいやすくするために、規則を意訳してオリジナルの文章に変えている箇所もあります。
公認野球規則の正確な定義文を知りたい人は、この記事の最後で紹介する公認野球規則を読んでください。
投球に関するボーク
- 投手が反則投球をした
- 投手が打者に正対しないうちに投球した
- 投手がセットポジションから投球するに際して、完全に静止しないで投球した
- 故意四球(敬遠)が企図されたときに、投手がキャッチャースボックスの外にいる捕手に投球した
投手が反則投球をした
例えば、バッターが構える前に投球したら、クイックピッチと言われる反則投球となります。
バッターが準備できていないうちに投球することは許されません。
これが反則投球となる理由は、バッターが危険にさらされるからです。
打者に正対しないうちに投球した
これは、クイックピッチと似たような違反投球です。
ただ、公認野球規則には「打者に正対しない」の定義がありません。
正対とは、バッターにこれから投球することを認識させることと考えていいと思います。
バッターの安全を確保するということを考慮すれば、だいたいこんな定義になるのかなと。
具体的には、キャッチャーのサインを見ることが「正対する」ことの1つになるでしょう。
要は、不意打ちに投球してはいけないということです。
完全に静止せずに投球した
このボークは、プロ野球でも見かけますね。
セットポジションで投球する前にグローブを身体の前で静止しなければボークです。
何秒静止したら完全静止であるかは、これまた定義されていません。
完全静止したかは、審判の主観(裁量)に委ねられています。
個人的には1秒静止すればいい気がしますが、2秒程度静止すると安心でしょうか。
1秒では静止が不十分と考える人もいるかもしれませんので。
少年野球では完全静止ができていない投手がいますので、しっかりと見てあげてください。
練習試合ならば、いきなりボークを取るのではなく何回か注意してあげると良いと思います。
キャッチャースボックスの外にいる捕手に投球した
一度、高校野球でこれを見かけましたが、ほとんど起きないケースだと思います。
そもそもこのルールを知らない人の方が多いんじゃないでしょうか。
このボークは、「キャッチャーボーク」と言われることがあります。
基本的にボークはピッチャーが犯してしまうルール違反です。
しかし、このボークだけは違っていて、キャッチャーが犯してしまう違反なのです。
キャッチャーは、投球前は両足をキャッチャースボックスに入れておかなければなりません。
よって、片足でもキャッチャースボックスの外にある状態で投球したらボークとなります。
ただし、これは故意四球(敬遠)をしようとするときに限って適用されます。
2022/3/20追記
※当記事のコメント欄にぷっちん様からご指摘をいただきました。
キャッチャーボークが適用されるのは、『故意四球を企図するときに限って』と公認野球規則に記載があります。
よって、それを明記しました。
ぷっちん様、ご指摘ありがとうございました。
投球動作に関するボーク
- 投手板に触れている投手が、投球動作に違反した
- 投手が投手板に触れないで、投球に関連する動作をした
- 投手がボールを持たないで、投手板に立つか、これをまたいで立つか、あるいは投手板を離れていて投球するまねをした
- 投手が正規の投球姿勢をとった後、実際に投球するか、塁に送球する場合を除いて、ボールから一方の手を離した
投球動作に違反した
正規の投球動作は、2021年度版公認野球規則5.07a(1)と(2)で定義されています。この定義された正規の投球動作以外の動作をしたら違反ということになります。
公認野球規則の文章は、いろいろ細かいことまで規定していますが、違反動作はだいたい下記の通りです。
違反となる投球動作
- 投球動作を中断または変更した
- (投手が転倒するなどして)投球を完了できなかった
- 自由な足が投手板の後縁を越えたにもかかわらず、本塁に投球しなかった
ただし、二塁への送球は許される
いずれも実際の試合で起こり得る違反投球動作です。
プロ野球でたまにピッチャーがこけてしまっている場合がありますが、あれもボークだということがわかります。
また、ピッチャーが投球動作に入ってから足をクロスしたらホームへ投げないといけないと言われることがあります。
しかし、それは間違いであることもわかります。
3つ目の●には、「自由な足が投手板の後縁を越えたにもかかわらず」とあります。
あくまで基準はプレートの後ろに自由足が行ったかどうかです。
なので、足がクロスしてもプレートの後縁を越えてなければ牽制してもボークになりません。
投手板に触れずに投球動作をした
これは特に説明は不要かなと思います。
ピッチャーは必ずプレートを踏んで投球しなければいけません。
ボールを持たずに投手板付近で投球のまねをした
ピッチャーがボールを持っていない場合の違反動作です。
プレートに立つことはもちろんダメですし、それをまたいで立っても違反です。
最近はあまり見ないですが、「隠し球」をするときは、これに注意ですね。
ボールを持たないケースって、おそらく隠し球の時だけです。
隠し球をしようとしているとき、ピッチャーが紛らわしい動作をしたらボークになると覚えておけばいいです。
正規の投球姿勢の後、ボールから手を離した
これは、要するにプレートを外さずにボールから手を離したらダメということですね。
投球動作に入っていますので、必ずプレートを外してから手を下ろすことが必要です。
送球(牽制)に関するボーク
- 投手板に触れている投手が、一塁または三塁に送球するまねだけして、実際に送球しなかった
- 投手板に触れている投手が、塁に送球する前に、足を直接その塁の方向に踏み出さなかった
- 投手板に触れている投手が、走者のいない塁へ送球したり、送球するまねをした
送球するまねだけした
送球のまねをすることを偽投と言います。
一塁または三塁に偽投すると、ボークが取られます。
なお、二塁への偽投は認められており、ボークにはなりません。
送球する塁に足を踏み出さなかった
送球するときは、しっかりと足をその塁の方へ踏み出さないといけません。
これは、特に左ピッチャーが一塁へ牽制するときに注意するべきことだと思います。
左ピッチャーが一塁ランナーを牽制する時、本塁へ投げるのか一塁へ投げるのかランナーにわからない方がピッチャーにとって有利です。
ですので、ピッチャーがぎりぎりまで本塁へ投げようと見せかけて一塁へ牽制します。
このときは、足がしっかりと一塁へ踏み出しているか、しっかりと見ておく必要があります。
走者のいない塁に送球した/送球のまねをした
ランナーがいない塁に送球したり、送球のまねをしたりすればボークです。
たまにピッチャーが勘違いして、ランナーのいない塁へボールを投げてしまうことがあります。
が、すごく稀なケースだと思います。
ただし、アピールプレイなど、プレイの必要があればランナーがいない塁に送球しても差し支えないとされています。
つまり、ボークにはなりません。
アピールプレーとは?アピール権の消滅までルールを徹底解説!!
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その他のボーク
- 投手が不必要に試合を遅延させた
- 投手板に触れている投手が、故意であろうと偶然であろうと、ボールを落とした
投手が遅延行為を行った
滅多にないと思いますが、ピッチャーが遅延行為をしたと審判が判断したらボークが宣告されます。
よほどのことがなければ適用されることはないと思います。
ただ、20秒以内に投球するというルールが適用される場合は、その規定の秒数を越えた時が遅延行為になります。
投手がボールを落とした
故意であるか、故意でないかに関係なく、プレートを踏んだ状態でボールを落としたらボークです。
ですので、ピッチャーはしっかりとボールを持つようにしなければなりません。
ボークの適用とペナルティ
ボークがあったら審判はボークを宣告します。
しかし、プレーが続いている場合は、そのままインプレーで続行されます。
ボークの宣告の仕方!審判はどのようにボークをジャッジすればいいのか!?
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例えば、ランナーのいない塁へ牽制して、それが悪送球になったときはインプレーです。
ランナーは危険を賭して2つ以上、進塁を試みることができます。
また、ボークの投球をバッターが打ってヒットになったら、ボークは取り消されます。
もし、ボークの投球をバッターが打ってアウトになったら、ボークが適用されます。
つまりバッターのアウトはなかったことになります。
ここが攻撃側が圧倒的に有利なルールだと言う理由です。
ボークの場合は、攻撃側に有利な状況にしかならないようになっているのです。
ボークに対するペナルティは下記の通りです。
ボークに対するペナルティ
- 塁上の全てのランナーが1つ先の塁へ進塁します。
このとき、バッターのカウントに変更はありません。(ノーカウント)
なお、塁上にランナーがいないときの違反動作は、反則投球となります。
ペナルティは、下記の通りです。
反則投球に対するペナルティ
- バッターのボールカウントが1つ増えます。
もし、ボールカウントが3つの時にボークを取られたら、フォアボールとなります。
ボークに関するケーススタディ
ケース① ボークを宣告された投球をバッターが打った
ケースの説明
- ランナーは2塁にいる
- ピッチャーはボークを宣告されたが、そのままバッターに投球した
- バッターはその投球を打ったがサードゴロとなり、1塁でアウトになった
- 2塁のランナーは進塁できなかった
また、ボークは適用されるのでしょうか?
少し考えてみてください。
解説
ケーススタディ①の4のプレーをを終えたところでプレーが止まったと判断して審判はタイムをかけます。
そして、バッターがアウトになったためボークを適用します。
その結果、2塁ランナーは3塁へ進塁し、バッターは打ち直しでプレーを再開します。
ケース② ランナーのいない塁への牽制
ケースの説明
- ランナーは2・3塁にいる
- ピッチャーはランナーのいない1塁へ牽制してしまった
- 一塁手はベースカバーに入っていなかったため、
ピッチャーからの送球はファールグラウンドを転々としている - 2塁と3塁のランナーは、二人ともホームへ返ってきた
それとも、ボークが適用されて3塁ランナーのみ得点が認められるのでしょうか?
(当然、2塁ランナーは3塁へ進塁するものとします。)
解説
このケースでは、2塁、3塁いずれのランナーも得点が認められます。
すなわち、得点2が入ります。
野球規則の6.02(a)には下記のように書かれています。
ボークの球が塁または本塁への悪送球となった場合、走者は自分のリスクで与えられた塁を越えて進むことができる
ですので、ランナーの進塁が認められ、得点2が入ることになります。
ちなみに、このケースは、2020年 阪神VSヤクルトの試合で実際にあったプレーです。
信じられないミスでした。
プロ野球でもあるんですねえ。こんなこと。
実際にその場面に遭遇しても、慌てないで落ち着いて判断できるようにしたいものです。
野球のボークの種類とルールのまとめ
最後に野球のボークについてここまで述べてきたことをまとめておきます。
ボークの種類とルールのまとめ
- 野球のルールでは、13種類のボークが規定されている
- ボークがあっても直ちにボールデッドにはならない(インプレーのまま)
- ペナルティは攻撃側に有利になるように規定されている
途中でも触れましたが、ボークの種類について完全な文章を知りたい場合は、公認野球規則を読んでみてください。
私もこの記事を書くにあたって公認野球規則を読み込んでいますが、もし何か間違っていたらご指摘いただけると助かります。
ところで、あなたのお子さんはピッチャーをしていますか?
もし、ピッチャーをしていてコントロールで悩んでいるなら、良いお知らせがあります。
ストライクをいつでも取れるくらいのコントロールを身につける方法です。
興味があれば読んでみてください。
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