これは整理して覚えないと無理ですね。
誰が守備妨害をするかという観点で整理するのがわかりやすいですかね。
この記事はこんな人にオススメ
- 守備妨害のルールにはどんなものがあるのか知りたい人
- わかりにくいルールに関しては詳しい解説が欲しい人
守備妨害とはどんなルール?
守備妨害ルールの概要
守備妨害とは、インターフェアとも言われます。
主に攻撃側プレーヤーが守備側の野手を妨げたり、さえぎったり、はばんだり、混乱させる行為のことです。
公認野球規則には次のようなペナルティを課すと規定されています。
しかし、実際には守備妨害をする可能性があるのは攻撃側プレーヤーだけではありません。
試合に出ていない攻撃側の控え選手や審判員、観客などが守備妨害する可能性があります。
よって、守備妨害は走塁妨害や打撃妨害に比べて、非常に多くの規定があります。
守備妨害の種類
では、具体的に守備妨害にはどのような種類があるのでしょうか。
「誰が」守備妨害をするかという観点で分類してみます。
守備妨害の種類
- バッターによる守備妨害
- バッターランナーによる守備妨害
- ランナーによる守備妨害
- 攻撃側メンバーによる守備妨害
- 審判による守備妨害
- 観客による守備妨害
- その他、競技場内にいる人による守備妨害
ここからは、この7種類の守備妨害を詳しく説明していきます。
バッターによる守備妨害
バッターによる守備妨害は、次の3つが規定されています。
バッターによる守備妨害
- 本塁における野手のプレイを妨げた場合(6.01(a)(3))
- アウトになった打者が野手を妨害した場合(6.01(a)(5))
- キャッチャーのプレイを妨害した場合(6.03(a)(3)、6.03(a)(4))
本塁における野手のプレイを妨げた場合
このルールは、0アウトまたは1アウトで、ランナーが三塁のときのみ適用されます。
この条件の下、バッターが本塁における野手のプレイを妨げた場合に守備妨害となります。
ペナルティは、下記の通りです。
守備妨害のペナルティ
- ランナーがアウトになる
なお、2アウトランナー三塁でこの守備妨害が起きたときは、バッターがアウトになります。
アウトになった打者が野手を妨害した場合
アウトになったばかりの打者が味方のランナーに対する野手の行動を妨害した場合は守備妨害です。
この場合のペナルティは下記の通りです。
守備妨害のペナルティ
- 妨害された野手が行動プレイの対象としていたランナーがアウトになる
- ボールデッドになる
- 他のランナーは妨害発生の瞬間に占有していた塁に戻される
キャッチャーのプレイを妨害した場合
公認野球規則の6.03はバッターの反則行為を規定している項目です。
その中にバッターの守備妨害に関する規定がありました。
公認野球規則には、次のように規定されています。
(3)の規定は、キャッチャーが2塁へ送球するときにバッターが前で邪魔する行為が代表的です。
プロ野球でもちょくちょく見かけるプレイですね。
(4)の規定は、このようなプレイが起きた記憶があまりありません。
おそらく、スクイズを試みたときに起こる確率が高い守備妨害ですね。
これらの守備妨害に対するペナルティは、こちらです。
守備妨害のペナルティ
- バッターはアウトになる
- ボールデッドになる
- ランナーは妨害発生時に占有していた塁に戻される
ただし、6.03(a)(3)と(4)に関しては例外規定もあって、ややこしいです。
詳しくは、こちらの記事でまとめて解説していますので参照しておいてください。
キャッチャーに対する送球妨害を詳しく説明!例外規定も解説します!!
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バッターランナーによる守備妨害
バッターランナーによる守備妨害は、下記4つが規定されています。
バッターランナーによる守備妨害
- 捕球できなかった投球を処理するキャッチャーを妨害した場合(6.01(a)(1))
- ファウル地域を動いている打球を故意に狂わせた場合(6.01(a)(2))
- 併殺を阻止するために妨害した場合(6.01(a)(7))
- スリーフットレーンの外側を走って守備を妨害した場合(5.09(a)(11))
捕球できなかった投球を処理するキャッチャーを妨害した場合
第3ストライクの後、その投球をキャッチャーが捕球できなかったとします。
この投球を処理しようとしているキャッチャーを明らかに妨げた場合は守備妨害となります。
この場合は、次の通り処置されます。
守備妨害のペナルティ
- バッターランナーはアウトになる
- ボールデッドになる
- 他のランナーは投球当時占有していた塁に戻される
ファウル地域を動いている打球を故意に狂わせた場合
まだファウルと確定していない打球がファウル地域を動いているときに、打球の進路を故意に狂わせると守備妨害になります。
この場合のペナルティは次の通りです。
守備妨害のペナルティ
- バッターがアウトになる
- ボールデッドになる
- ランナーの進塁は認められない
併殺を阻止するために妨害した場合
バッターランナーが明らかに併殺を行わせないために故意に打球を妨げると守備妨害です。
また、同じく併殺を防ぐ目的で打球を処理している野手を妨害した時も守備妨害になります。
守備妨害のペナルティ
- バッターランナーはアウトになる
- 本塁に最も近いランナーがアウトになる(※)
- ボールデッドになる
- 他のランナーは投球当時占有していた塁に戻される
(※)どこで併殺が行われようとしていたかには関係なく、本塁に最も近いランナーがアウトになる
スリーフットレーンの外側を走って守備を妨害した場合
スリーフットレーンとは、本塁と一塁の後半部分に設けられたファールゾーン外側の領域のことです。
スリーフットレーンが何かわからなければ、詳しい解説記事を参照してください。
スリーフットラインやスリーフットレーンとは何か?描かれている理由も徹底解説!!
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バッターランナーがスリーフットレーンの外を走っているときに、一塁への送球を捕らえようとする野手の動作を妨げたと審判員が認めた場合に守備妨害となります。
守備妨害のペナルティ
- バッターランナーはアウトになる
- ボールデッドになる
- 他のランナーは投球当時占有していた塁に戻される
ただし、バッターランナーの妨害前に別のプレイが介在した場合は、一部ルールを適用しないことになっています。
このようにスリーフットレーンのルールは、発生時の状況によってルールの適用のしかたが異なります。
詳しいことは、発生時の状況とルールの適用を整理した記事を参照してください。
スリーフットレーンの外側を走って起こる守備妨害のルールを徹底解説!!
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ランナーによる守備妨害
ランナーによる守備妨害は7個も規定されています。
それだけランナーが守備妨害をしてしまう場面が多いということですね。
ランナーによる守備妨害
- 送球を故意に妨げた場合(5.09(b)(3))
- ファウル地域を動いている打球を故意に狂わせた場合(6.01(a)(2))
- アウトになった、または得点した走者が野手を妨害した場合(6.01(a)(5))
- 併殺を阻止するために妨害した場合(6.01(a)(6))
- 打球を処理している野手をさけなかった場合(6.01(a)(10))
- フェア地域でフェアボールに当たった場合(6.01(a)(11))
- 併殺を阻止するためのスライディングをした場合(6.01(j))
送球を故意に妨げた場合
ランナーが送球を故意に妨げたり、打球を処理しようとしている野手の妨げになった場合は守備妨害です。
守備妨害のペナルティ
- ランナーはアウトになる
- ボールデッドになる
- 他のランナーは妨害発生の瞬間に占有していた塁に戻される
最近は見ないですが、ちょっと前までこんなプレーをプロ野球で見かけました。
一塁へ送球しにくくするために、二塁へスライディングしたランナーが両手を上げていたのです。
この手に送球が当たって守備妨害となったというプレーです。
送球が当たったランナーが指を骨折することもあるので、ランナーにリスクがあります。
そもそもフェアプレーでないですよね。
そういう理由かどうかはわかりませんが、このプレーを見ることはなくなりました。
ファウル地域を動いている打球を故意に狂わせた場合
これは、「バッターランナーによる守備妨害」の項で挙げたルールと同じです。
バッターランナーだけではなく、ランナーもまた打球を故意に狂わせると守備妨害となります。
守備妨害のペナルティ
- 守備妨害したランナーがアウトになる
- ボールデッドになる
- ランナーの進塁は認められない
アウトになった、または得点した走者が野手を妨害した場合
これは、「バッターによる守備妨害」の項で挙げたルールと全く同じです。
守備妨害をしたのがアウトになったばかりのバッターかランナーかの違いだけです。
したがって、守備妨害に対するペナルティも「バッターによる守備妨害」の項で挙げたものと同じになります。
守備妨害のペナルティ
- 妨害された野手がプレイの対象としていたランナーがアウトになる
- ボールデッドになる
- 他のランナーは妨害発生の瞬間に占有していた塁に戻される
併殺を阻止するために妨害した場合
これも「バッターランナーによる守備妨害」の項で挙げたルールと同じです。
併殺を阻止する目的で故意に打球を狂わせる、あるいは打球を処理する野手を妨害すると守備妨害です。
バッターランナーが併殺阻止の目的で守備妨害をしたときと違うのは、アウトになるプレーヤーです。
ランナーがこの行為で守備妨害を取られたときは、そのランナーとバッターランナーがアウトになります。
守備妨害のペナルティ
- 守備妨害をしたランナーはアウトになる
- バッターランナーもアウトになる
- ボールデッドになる
- 他のランナーは投球当時占有していた塁に戻される
得点も認められない
打球を処理している野手をさけなかった場合
ランナーが下記いずれかの行為をした場合、守備妨害となります。
- 打球を処理しようとしている野手を避けなかった
- 送球を故意に妨げた
この守備妨害に対するペナルティは、次の通りです。
守備妨害のペナルティ
- ランナーはアウトになる
- ボールデッドになる
- 他のランナーは妨害発生の瞬間に占有していた塁に戻される
フェア地域でフェアボールに当たった場合
投手を含む野手に触れていないフェアボールが、フェア地域でランナーに当たると守備妨害になります。
守備妨害のペナルティ
- ボールが当たったランナーはアウトになる
- ボールデッドになる
- 他のランナーは妨害発生の瞬間に占有していた塁に戻される
ただし、いったん野手が触れた場合は守備妨害になりません。
でも、わざと打球を蹴ったと審判員が判断したら、やっぱり守備妨害になります。
ケースによって守備妨害になったり、ならなかったり少しややこしい感じがします。
そこで、守備妨害になるケースとならないケースを別記事で整理しました。
詳しいことは、その記事で確認してください。
ランナーにボールが当たるとアウト?他のランナーはどうなる?
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併殺を阻止するためのスライディングをした場合
ランナーが併殺を阻止するために、”正しいスライディング”をせずに、野手に接触したり、接触しようとすれば、守備妨害が適用されます。
”正しいスライディング”とは、公認野球規則6.01(j)に規定されている下記4項目を全て満たすスライディングのことです。
正しいスライディングをしたランナーは野手に接触しても守備妨害にはなりません。
正しいスライディングとは
- ベースに到達する前からスライディングを始め(先に地面に触れる)、
- 手や足でベースに到達しようとし、
- スライディング終了後は(本塁を除き)ベース上にとどまろうとし、
- 野手に接触しようとして走路を変更することなく、ベースに達するように滑り込む
守備妨害のペナルティ
- 妨害したランナーはアウトになる
- バッターランナーもアウトになる
- 他のランナーは投球当時に占有していた塁に戻される
以前はプロ野球で併殺を阻止するために野手めがけてスライディングをしていました。
野手がベースから離れて送球しようとしているにも関わらずです。
この行為が6.01(j)によって明確に禁止されたということなのでしょう。
最近では、そういったプレーは見られなくなりました。
実際、6.01(j)の規定はMLBで野手が骨折するなどの重傷者がでたことを契機に定められたルールです。
少年野球では、特にそういったラフプレーを厳しく指導してほしいです。
選手生命を奪いかねないことも当然そうですが、フェアプレーの精神を持ってほしいという意味合いがあります。
相手をリスペクトし、フェアプレーで試合をしなさいという指導は、教育的な観点からも重要だと思います。
攻撃側メンバーによる守備妨害
攻撃側メンバーによる守備妨害は、下記5つが規定されています。
ここで攻撃側メンバーとは、試合に出場していない選手やコーチのことです。
攻撃側メンバーによる守備妨害
- 野手を惑わすなどの行為をした場合(6.01(a)(4))
- ベースコーチがランナーを援助した場合(6.01(a)(8))
- ベースコーチが野手の送球を誘発した場合(6.01(a)(9))
- 野手の打球処理を妨げた場合(6.01(b))
- ベースコーチが故意に送球を妨害した場合(6.01(f))
野手を惑わすなどの行為をした場合
攻撃側のメンバーが次のいずれかの行為をした場合、守備妨害が取られます。
- ランナーが達しようとする塁に接近して立つ
- その塁の付近に集合して守備側を妨げる、または惑乱させる
- ことさらに守備を困難にする
守備妨害のペナルティ
- 守備妨害と認められた行為をした塁に達しようとするランナーがアウトになる
- ボールデッドになる
- 他のランナーは妨害発生当時に占有していた塁に戻される
ベースコーチがランナーを援助した場合
ベースコーチ(ランナーコーチ)が、次の行為をしたと審判員が認めた場合は守備妨害が取られます。
- ランナーに触れるか、または支えるかして、
- ランナーの三塁または一塁への帰塁、あるいはそれらの離塁を、
- 肉体的に援助した
守備妨害のペナルティ
- 援助されたランナーがアウトになる
- ボールデッドになる
- 他のランナーは妨害発生当時に占有していた塁に戻される
ベースコーチが野手の送球を誘発した場合
ランナー三塁のケースで、ベースコーチがコーチャーズボックスを離れ、何らかの動作で野手の送球を誘発した場合、これも守備妨害となります。
守備妨害のペナルティ
- 三塁ランナーがアウトになる
野手の打球処理を妨げた場合
公認野球規則6.01(b)に「守備側の権利優先」という項目があります。
ここには次のように規定されています。
これを怠って守備を邪魔したと判断されれば守備妨害になります。
こういう場面は、プロ野球を見ているとよく見かけますね。
例えば、ファウルフライを捕ろうとする一塁手が近づいたとき、コーチャーズボックスから離れる場面。
あるいは、ファウルフライがブルペンに飛んできたら、蜘蛛の子を散らすように逃げるといった場面です。
これはルールに基づいた行動だったんです。
このケースのペナルティは次の通りです。
守備妨害のペナルティ(打球処理時)
- バッターがアウトになる
- ボールデッドになる
- 他のランナーは投球当時に占有していた塁に戻される
守備妨害のペナルティ(送球処理時)
- 守備の対象となっていたランナーがアウトになる
- ボールデッドになる
- 他のランナーは妨害発生当時に占有していた塁に戻される
ここでランナーが進塁のために野手を交錯したら、守備妨害と走塁妨害どちらになるのか疑問に思うかもしれません。
この疑問については、下記の記事の中で説明しています。
「守備妨害と走塁妨害のどちらが優先される?」という項目がその説明です。
守備妨害・走塁妨害・打撃妨害とは?どの妨害が優先して適用されるのか?
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ベースコーチが故意に送球を妨害した場合
ベースコーチが故意に送球を妨害した場合は、守備妨害です。
守備妨害のペナルティ
- 守備の対象となっていたランナーがアウトになる
- ボールデッドになる
ただし、送球が偶然ベースコーチに当たった場合はインプレーです。
審判に送球が当たった場合も同様にインプレーとなります。
審判による守備妨害
野球では審判が守備を妨害するケースも規定されています。
これには3つのケースがあります。
審判による守備妨害
- フェア地域でフェアボールに当たった場合(5.05(b)(4))
- キャッチャーの送球を妨害した場合(5.06(c)(2))
フェア地域でフェアボールに当たった場合
ランナーがフェア地域でフェアボールに当たるケースと同様に審判がボールに当たることもあります。
ボールが当たったら、ボールデッドとなって妨害に対して処置されます。
ただし、審判にボールが当たっても妨害を取らず、インプレーになることもあります。
この記事では、どういう場合に守備妨害になり、どういう場合に守備妨害にならないのか説明しています。
審判にボールが当たるとどうなる?審判は石ころって本当なの??
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キャッチャーの送球を妨害した場合
球審がキャッチャーの送球動作を妨害した場合は、守備妨害となります。
この場合、次の処置がとられます。
審判による守備妨害の処置
- 全てのランナーは元の塁に戻される
- ボールデッドになる
ただし、審判による妨害あったにもかかわらずランナーをアウトにすれば、妨害はなかったことになります。
観客による守備妨害
観客が観客席から身を乗り出したり、手を伸ばして打球や送球に対して妨害することがあります。
これは、2021年のプロ野球でも実際に起こったことです。
観客による守備妨害の処置
- ボールデッドになる
- 妨害がなかったらどうなっていたかを審判員が判断して処置する
こちらも細かく定められた規定を詳しく解説した記事を用意しています。
併せて確認しておいてください。
観客が守備妨害!?観客がプレーを妨害したらバッターはアウトになるの??
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その他、競技場内にいる人による守備妨害
守備妨害の最後は、競技場内に入ることを公認された人が妨害した場合です。
この人は、例えばボールボーイ、警察官、メディア関係者などが想定されています。
もし、妨害が故意でなければインプレーで試合は続行されます。
これらの人が、故意に妨害した場合は、次の処置がとられます。
関係者による守備妨害の処置
- ボールデッドになる
- 妨害がなかったらどうなっていたかを審判員が判断して処置する
この記事のまとめ
以上で守備妨害すべてを網羅できました。
詳しいことを解説した別記事がない規定も、細かく見れば足りない情報があります。
ぜひ、公認野球規則をあなた自身で確認するようにしてください。
では、この記事の内容をまとめておきます。
この記事のまとめ
- 守備妨害とはどんなルールかすべての規定を網羅して整理した
- 「誰が」守備妨害をするかという観点で整理すると7つに分類できる
- それぞれ細かく規定されているので公認野球規則を確認してほしい
守備妨害を全部網羅することは、大変な作業でした。
それだけ守備妨害に関する規定が多いということです。
プレーヤーの安全面を考慮して設けられた規定、フェアプレーのための規定があります。
なぜ妨害に関する規定があるのか、ぜひ子供たちに教えてあげてほしいと思います。
相手をケガさせるようなラフプレーはダメだし、フェアプレー精神が必要だということなどですね。
それが子どもたちへの野球を通じた教育になると考えます。
守備妨害以外の走塁妨害や打撃妨害に関しては、こちらで説明しています。
妨害系のルールを網羅するためにも、この記事を読むようにしてください。
守備妨害・走塁妨害・打撃妨害とは?どの妨害が優先して適用されるのか?
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